薔薇の迷夢

ピチレモンについて書かれた日記

ラブベリー休刊ドキュメント

■中学生雑誌は2誌体制へ
f:id:GYOPI:20150922012332j:plain:right先週、中学生雑誌『ラブベリー』の休刊が発表され、大きな話題となりました。というのも、すでに今年4月のハナチュー休刊に引き続き、立て続けに、ラブベリーまでもが、なくなってしまうことになったからです。

これによって、近年「4大中学生雑誌」として定着していた『ピチレモン』『ニコラ』『ハナチュー』『ラブベリー』ですが、来年3月のラブベ休刊によって、なんとピチレとニコラの2誌体制になってしまうわけです。

そこで今日は、休刊が決まったラブベリーについて、いったいどうして休刊になってしまったのか、その原因を探るべく、休刊にいたるまでの道のり・兆候を、年表形式で振り返ってみたいと思います。




ラブベリー休刊に至るまでの兆候年表



■兆候1:5月「AKB入植開始」
ラブベリーは、今年6月号より編集長が交代し、同時にAKB48SKE48を専属モデルとして非オーデ加入させることで、誌面の雰囲気の全面リニューアルを図りました。

まずは新加入の松井珠理奈ちゃんが、加入月の6月号でイキナリ表紙に大抜擢。続く7月号では、同誌専属モデルでないトップアイドル前田敦子さんを表紙に起用という禁じ手。さらに、これだけとどまらず、続く8月号では、板野友美さんまでを表紙に出しました。こうして、ラブベリーは「AKB頼み」というか、もはやラブベリーナよりも完全にAKBを優先するようになったのです。

ということで、過剰なまでにAKBの色が濃くなったことが、「第1の兆候」です。もちろん、このリニューアルが成功すれば部数アップにつながり、休刊は免れますが、反対に、失敗すれば読者離れが進み、一気に休刊が近づくことになります。まさに、編集部として、大きな大きなギャンブルだったといえます。

それでは、このギャンブルの結果はどう出たか。部数は増えたのか減ったのか。少し長くなりますが、詳しい部数の推移を見ていきましょう。



■中学生雑誌の部数の推移

上の「部数一覧表」は、各誌の3ヶ月ごとの平均部数です。ニコラが一貫して22万部前後を維持。対するピチレとラブベリーは、ちょっとの間で1万部以上を減らしていることなどが見て取れますが、詳しい3誌の部数比較はすでにやってありますので、こちらを読んでみてください(⇒「部数比較2011秋」)。とにかく今日はラブベリーの話ですので、以下、ラブベの部数の推移に特化して解説します。

まず、3月の震災直後の4〜6月期の各誌の部数に注目して下さい。売り上げ1位のニコラが4000部の減、2位のピチレが9900部の減と、さすがに大幅に減らしているのに対し、ラブベリーは、たった2000部を減らしただけに食い止め、その減少幅は3誌中で最小となっています。

これこそが、AKBの力。震災直後であり、通常の小中学生読者の購買力が落ちるところ、AKBファンがこぞって買い支えたことで、その結果、部数減が最小にとどまったのだと思います。

ですが、この後は更なる下落が始まります。7〜9月期の部数に注目してみて下さい。このあたりになると、震災から3ヶ月以上たち、そろそろ部数が回復してくるところです。実際、ニコラはここで一気に7000部もアップさせています。ピチレも下げ幅が前期より少なくなりました。

しかし、ラブベリーはどうかというと、なんと、回復期であるはずのここで6000部も減らしてしまうことになりました。もちろん3誌中で最悪の数字です。では、これは何を意味し、いったい何が原因だったのでしょうか。




■古くからの読者の離反
「ずっとラブベリーを読み続けている読者で、AKBの過剰な登場を嫌い離れていった人の数」と「AKBを目当てに新たに読者になった人の数」との単純な足し算で説明できます。

震災直後の4〜6月期。ここでは、AKBが加わったことで、とにかくAKBファンが買います。古くからの読者も、まだAKBが入ってくることはよく知りませんので、通常通り当然に買います。この「旧読者」と「新読者」の合算で、部数減を最小限に押しとどめることができたのです。

ですが、7〜9月期になると、さすがに編集方針の大幅変更は、誰の目にも明らかになります。2、3ヶ月たってみて、古くからの読者は「ん!?なんでラブベリーナより、AKBが優先されてるんだ?」「なんか編集が変わった、おかしい!」と気づきます。

その結果、これまでのラブベリーを支えていた読者が離れていったのです。一方、AKBファンが毎月毎月、無限に新たに読者として増加を続けることはありえません。新規読者は4〜6月期にグンと増えて以降、その後は頭打ちとなります。




■部数減の仕組み
で、両者を足し算をするとどうなるか。「新規読者の増加」−「古参読者の離脱」=「大幅マイナス」ということになったのです。圧倒的に、離れていった読者の方がが多かったということです。よって、7〜9月期に、最大の下げ幅を記録することになったと考えられます。

なお、まだ正確な数字は出ていませんが、9月に未来穂香ちゃんや井之上史織ちゃんといった人気ラブベリーナの集団離脱があり、その上、10月からは定価が630円に大幅アップしたりで、条件悪化が止まりません。当然に、次期の部数発表となる10〜12月分の成績は、さらにさらに大きく落とすことが予想できます。




■「震災の影響による部数減」はウソ
ちなみに、ラブベリー編集部は、休刊につき、「震災の影響」を1つの要因としてあげていますが、これは正しいのでしょうか? ついでなので、ちょと検証してみます。まずは、3ヵ月ごとのラブベリーの部数の推移表を見てください。

このように、2010年は、全期にわたって平均して12万部を保っていた部数ですが、2011年の1〜3月期になると、突然10万台に大幅下落します。もちろん、これは震災前。一方で、上述のように、震災後の部数の減少は、AKBの力に支えられ、たった2000にとどまったわけです。その後、古参読者の離脱で、再び下落に転じるといいう流れは、すでにさきほど書いてきたとおりです。

つまり、部数下落の原点は、2010年の後半から2011年の最初にかけての出来事だったのです(グラフ中の「急落」部分)。震災を言い訳に、「その影響で売れなくなった」は、全くのウソだということです。震災前、すでに部数が減っていて、それに輪をかけてAKB偏向のダメ押しによって、これまでの読者が離れていった。それがラブベ部数減のホントの理由です。さて、かなり脱線しましたので、兆候に戻ります。




■兆候2:8月「エヴァーグリーン勢の離脱」
ラブベリー9月号をもって、エヴァーグリーン所属の主要ラブベリーナ4名、未来穂香ちゃん、井之上史織ちゃん、長崎すみれちゃん、加藤由梨愛ちゃんが突然に卒業となりました。

しかし、休刊決定となった今から思えば、この集団卒業の件につき、巷でいわれているような「ケンカ別れ」「路線対立によるモデル一斉引き上げ」というよりも、むしろ話し合い解散的な、編集部&事務所ともども両者合意の上での移籍だったのではないかと思えてくることもあります。

つまり、編集部としては一発逆転を狙い、これまでのイメージを一新して、新たにAKBシフトで行きたい。対して、モデルの所属事務所としては、いつつぶれるかわからない不安定な雑誌でこのまま専属モデルをやっているより、早く新しいお仕事に移りたい。

こうして、両者の利害が一致した上で、さすがに円満とまではいかないでしょうが、それでも、そこそこお互いに納得の上でのエヴァーグリーン離脱劇だったとも考えられます。その証拠に、エヴァーグリーン全員がラブベリーから引き上げたのではなく、現在も現役モデルとして岡本夏美ちゃん&近藤玲奈ちゃんの2人は、そのまま残っています。

とにかく、エース級の人気モデル、ほののんが離脱したことは大きなこと。ただでさえ、AKBシフトにうんざりしていた古参読者にとって、この9月号でのエヴァーグリーン勢4人の離脱は、ラブベリーの購読をやめる1つの重大なきっかけとなったことは間違いないところです。

ということで、以上、エヴァーグリーン所属の人気ラブベリーナがまとめて卒業し、1ヵ月後には、しれっと新たにピチレモンの専属モデルに収まるという前代未聞の大型移籍劇が、休刊の「兆候2」ということになります。




■兆候3:11月「突然に定価が大幅アップ」
ここ最近のラブベリーの定価は、490円が相場でした。ピチレやニコラも同一の水準です。しかし、この12月号から、イキナリ630円と大幅な値上がり。付録が豪華とかカラーページが増えたとか、それなりに理由もあるかとは思いますが、それでも、突然140円もアップさせるのは異常。なにより、ニコラもピチレも、依然として通常通り480円前後を保っているのに、ラブベリーだけが突出しています。

小学高学年から中1&中2をメーン対象とする中学生雑誌にとって、月刊で600円台の定価設定は、どう考えてもムチャ。定価を上げれば、売り上げの総額も増えるので、部数減を定価アップで補うという、まさにその場しのぎの禁じ手。この不自然な定価アップが「第3の兆候」といえます。




■兆候4:11月「自前オーディションの休止」
そして、最大のポイントが、この自前オーディションの放棄です。ラブベリーでは、毎年12月号から、「ラブベリー専属モデルオーディション」の募集がスタートします。例年通りなら、今年は記念すべき第10回目を迎えるところでした。

しかし、今年。12月号で、なぜかラブベリーナオーディションの募集がありませんでした。で、その変わりにスタートしたのが「第1回ローティーンオーディション」という新しいオーディション。これは、ワタナベエンターテイメントスクールがメーンとなり、ラブベリー誌上で実施するものです。

ここで、読者は「あれっ!? おかしい!」と思うわけです。なぜ、自前の専属モデル選抜オーディションが、突然に終わってしまったのか。なぜ、別のオーディションが始まるのか。まさに、今思えば、これが第4の「兆候」であったことがわかります。




■自前オーディションとは
ちなみに、ラブベリーだけでなく、ピチレモンは「ピチモオーディション」、ニコラは「ニコラモデルオーディション」といったように、各誌とも、自前で専属モデルを募集するオーディションを毎年実施しています。

ファッション誌の大きな役割の1つは、モデルを発掘することです。そして、発掘した新人を、専属モデルとして育て、世に送り出すことです。で、その手段こそが自前のオーディションということになります。

なので、自前オーデを放棄するということは、まさにファッション誌にとって自殺行為。ラブベリー12月号に、自前オーディションの募集がなかった時点で、一部のカンのいい読者は「休刊が近い」と確信したはずです。




■兆候5:12月「有力モデルの再就職先を探す」
ラブベ休刊がニュースとして流れる、まさにその前日。アイドリング!!!の5期生となる新メンバーの候補者が発表されました。で、そこには、なんと現役のラブベリーナが4名もエントリー。石田佳蓮ちゃん、大矢梨華子ちゃん、高見奈央ちゃん、松本彩花ちゃんです。

「なんか変!」「なんで現役のラブベリーナが、この時期に4人も揃ってアイドルを目指すのか?」。多くの読者が不思議に思ったところです。

すると、翌日に休刊ニュース。「専属モデルたちは、もうすぐ無くなるラブベに変わる、新しいお仕事を探しているんだ」と納得されされました。この、現役ラブベリーナによるアイドルオーディションへの大量エントリーが「第5の兆候」でした。




■すでに再就職先が決定しているケース
2011年になって、早々に新たなお仕事を決めたラブベリーナも、もちろんいます。2011年になってからの異動ですので、当然に、それぞれの事務所にも、休刊決定とまでハッキリしたものではないにしろ、存続が危ないかもしれないといった程度の情報は入っています。

結果として、飯窪春菜ちゃん(旧名:壇はう)は、モーニング娘。の10期として合格。また、すでに述べた、ほののんたち4人も、他の現役ラブベリーナに先駆け、一足早くピチレモン専属モデルを決めました。あとは、アイドリング!!!5期に何人が受かるかといったところでしょうか。




■まとめ
もちろん休刊につき、その根底にあるのが部数減。部数が増えていれば、というより、少なくとも、これまで通りの12万部を維持してさえいれば、ラブベリーは休刊にはならなかったはずです。

おおざっぱに振り返ると、一定して12万部を維持していたところ、2010年の終わりに、突然2万減らして10万となったラブベリー。この時点が転換点だったと思います。その後、2011年にAKB偏向の結果として、さらに1万減らします。で、ついに休刊という流れ。

来年春、ラブベリーの9万部が失われることになりますが、では、この9万読者が、いったいどこに行くのか。ピチレやニコラに流れるのか。それとも、セブンティーンやその他の雑誌に行くのか。注目されるところです。