【主人公】
・まえのん :前田希美
ピチ女にやってきたケンカ最強の転校生。この物語の主人公
・きょうたん:京佳
希美のイトコで、希美にいつもくっついて行動する妹分。関西弁を話す
【チーム・オタモ】
・やちりさ:谷内里早
まえのんのクラスメート。アニメ&マンガ好きのグループのリーダー
・れぇら :勝呂玲羅
チーム・オタモのメンバー。ニコプチ中学出身で、夏帆の後輩
・ゆりんこ:神元結莉
チーム・オタモのメンバー。大人しくて無口
【学級委員】
・りぃ:高田里穂
まえのんのクラスの委員長
【山椒姉妹】
・ともみん:志田友美
四天王うみーごの舎弟にして、「ピチ女」売り出し中の1年生
・りんりん:荻野可鈴
友美とチームを組む1年生
【その他】
・学ラン :黒田瑞貴
自分を男子だと思っている。あるきっかけから、希美に恋愛感情を抱くようになる
・チュー :岩田宙
ナゾの1年生
【学園四天王】
・うみーご:一木有海
四天王の1人。山椒姉妹を舎弟にもつ
・さやりぃ:松井さやか
四天王の1人。現在、北海道に帰省中で不在
・ナナ :清野菜名
四天王の1人。亜里沙の親友で、おしゃべり
・宮アリ :宮坂亜里沙
四天王の1人。菜名の親友で、マイペース
【生徒会長】
・悠月先輩:星野悠月
オモテの顔は生徒会長。ウラの顔は四天王を束ねる学園の番長
【ライバル校・ニコラ学園】
・まりや総長:西内まりや
ピチ女のライバル校、ニコ学のトップ
・きょん:日南響子
ニコラ学園のナンバーツー
・いとかほ:伊藤夏帆
ニコプチ中学出身で、玲羅の先輩
・アルパカ:池田依來沙
「ニコ学」売り出し中の1年生で、将来のエース候補
第6話『玲羅の野望』
≪ピチ女≫
お昼休み。2年A組の教室。
京佳 「のぞ姐〜。いいかげん、毎日弁当に納豆持ってきはるの、やめてもらえまっか」
と、申し訳なさそうに、京佳。
前田 「なんで〜?」
希美はカッタルそうに、京佳に視線を向ける。
京佳 「うちら、もともとクラスで浮いてますのに、これじゃ、ますます孤立してしまいますわ」
京佳、ちょっと困った顔になって、懇願するが
前田 「キョーミナシ」
取り付く島もなし。
そして希美は、再び、一心に納豆をかきまぜはじめた。
と、ここで、クラス委員長の里穂が教室に入ってくる。
高田 「だれか〜。勝呂さん、知ってる? まだ今日、登校してないみたいなんだけど・・・」
≪ニコ学≫
ニコ学のたまり場になっている、新宿は矢来町、神楽坂駅近くの喫茶店。
ここに、数人のニコ学の面々に囲まれ、一人、ピチ女の1年生である玲羅の姿がある。
玲羅は、この完全なアウェーの雰囲気にも動じることなく、中央のテーブルに、中学時代の先輩である夏帆と向かい合って座っている。
伊藤 「これが約束の金だ」
夏帆、テーブルの上に、無造作に封筒を投げる。
勝呂 「たしかに」
チラッと中身を確認すると、封筒を、そそくさとカバンにしまう玲羅。
そんな一連の動作を、厳しい目つきで眺めつつ、夏帆が付け加える。
伊藤 「金に見合う情報なんだろうな?」
勝呂 「へっ?」
伊藤 「場合によっちゃ、ここから、ただじゃ返さねぇぞ!」
夏帆の声を合図に、後ろに控える依來沙を中心とした、ニコ学メンバーが、一斉に玲羅にガンを飛ばし、威嚇する。
勝呂 「はい、先輩。もちろんです」
玲羅、自信たっぷりに答えると、おもむろに立ち上がって、語りだす。
勝呂 「一時は、だれもがホッシーつぶしに挑戦しましたが、達成したヤツはいません」
ここで、やや間を取って、一同を見渡し、そのまま続ける。
勝呂 「ピチ女の秩序は、絶大な力を持つホッシーが、トップに君臨することで、これまで保たれてきました」
≪バンッ≫
ここで夏帆、突然机を蹴り上げる。
≪ガシャガシャガシャン≫
上にあったコップが床に落ち、音を立てて割れる。
伊藤 「んなこと、言われなくても、わかってんだよっ!」
勝呂 「いえ。ここからっす」
あくまで冷静な玲羅。
伊藤 「で?」
夏帆、再びイスに座る。
勝呂 「ということは、だれかが、そのホッシーさえ倒せば、ピチ女の秩序は崩壊し、ニコ学さんが攻め込む絶好のチャンスになるわけっす」
玲羅がここまで言ったところで、落ち着いた、小さいながらもよく通る声が割り込む。
西内 「それは違うな」
部屋の端のイスに座るニコ学の総長、まりやへと、全員の視線が一斉に集まる。
まりや、続けて。
西内 「ホッシーを倒したヤツが、変わってトップに立つだけ。状況はなにも変わらない」
これに、玲羅は、逆に問い返す。
勝呂 「でも、トップに興味の無いヤツが、ホッシーを倒したら?」
やや間があって。
西内 「トップ不在」
日南 「統率を取るやつがいなくなる・・・と?」
副長の響子も加わって。
勝呂 「そうっす」
日南 「う〜ん。ってことは―――」
玲羅、ここでニヤッと微笑む。
勝呂 「エースのいない雑誌は、・・・滅びます」
(間)
伊藤 「でも、ホッシーに勝てるほどの実力を持ちながら、トップに興味ないヤツなんて、いんのか?」
イマイチ納得できない様子で夏帆。
勝呂 「ふふふ。実は現在、ホッシーを脅かす存在が、ちょうど1人、いるんすよ」
伊藤 「ほぉ〜」
勝呂 「しかも、都合のいいことに、そいつは転校生。徒党を組まない一匹狼なんすよ」
ここで、まりやが再び割り込む。
西内 「おまえの役割は、そいつにホッシーを倒させる、と」
勝呂 「そういうことっす」
西内 「うまくいくか?」
勝呂 「ふふふ。任せてください」